「ハイド!」アサ・クワヨシ作 完結:『廃道との訣別』

桑良木もとによる漫画『ハイ度!~廃道探索~』(廃道)の最終話が、月刊コミックキューン3月号で掲載されました。2023年3月に連載を開始して以来、二人の主人公の目を通して廃道を探索する内容で読者を魅了してきた本シリーズは、ここに完結を迎えます。
物静かな生徒・吉永刹那と、その同級生リンゴを中心に展開する物語は、その雰囲気豊かな描写と登場人物の掘り下げの深さで特に高く評価されてきました。最終巻は2月27日に発売される予定ですが、桑良木はすでに『もふもふ屋敷の猫と俺』のような新作プロジェクトで注目を集めています。
「雪の姫」と「旅への衝動」の間で
『ハイ度!』の物語は、その物静かな性格から「雪の姫(Snow Princess)」とあだ名される転校生・吉永刹那を中心に描かれます。しかし、彼女が笑顔を見せるのは廃道の話をしている時だけであり、そのことが同級生のリンゴが彼女と共に廃道を探索するきっかけとなります。登場人物たちの関係性は、その対照的な性格によって形成されます。刹那が内向的で探究心に富む一方、リンゴは衝動的な好奇心で周囲を惹きつけます。

二人の探索は、老朽化したトンネル、草木が生い茂る道、そして人気のない山道へと彼らを導き、それぞれの発見には感情的、象徴的な意味が込められています。「風景は、あからさまにすぎることなく、内面の葛藤を反映している」――これは第1巻のレビューにある言葉です。桑良木は、ミニマルな会話と緻密な描画を通じて、物憂げな雰囲気を伝えることに成功し、読者を魅了します。
連載履歴
この漫画は、2023年3月にKADOKAWA発行の月刊コミックキューンで連載が始まりました。同誌は、ライフスタイル系や女性向けコンテンツに特化した雑誌です。単行本第1巻は2023年10月に発売され、第3巻にして最終巻が2025年2月27日に発売される予定です。
全3巻と、シリーズはコンパクトにまとまっています。同時に、作者はすでに新作プロジェクトに取り組んでいます。2024年7月からは、少年画報社のユーモラスな動物物語を扱う媒体『ねこぱんち』にて、『もふもふ屋敷の猫と俺』の連載が開始されています。
このことは、完結したシリーズ『ひなたちゃん』(2015年~2022年)で既に確立されていた彼女の多才さを裏付けています。同作は全11巻で刊行されており、KiraKira Mediaによる英語圏向けサービスAzukiを通じて国際的に読むことができます。
まとめ
『ハイ度!』は、雰囲気のある成長物語の分野に空白を残すことになるでしょう。しかし、桑良木のキャリアは停滞する兆候を見せていません。本シリーズの完結と新作の発表により、作者は引き続きその次の動向が熱望される主要人物であり続けます。
出典:月刊コミックキューン3月号